第三回 脱水・突然死・BLS

マラソンフェスティバル ナゴヤ・愛知2019まで残り3週間を切りました!
皆様、トレーニングは行えていますでしょうか。
さて、今回は、スポーツ中の脱水・突然死、近くのランナーに異変が起きた時の対処法についてご紹介致します。
練習・レースを安全に楽しく行うために、知識を得て、未然に防げるようにしましょう。

本当に怖い脱水症状

私たち人間の身体は、成人の場合60〜70%が水分と電解質で出来ています。

脱水とは、必要な体液量が不足した状態を言います。
原因は、水分が失われた状態(水分欠乏脱水)、あるいはナトリウムが失われた状態(ナトリウム欠乏脱水)、そして混合脱水の3つが考えられます。

脱水は、夏場だけでなく、どんな時期でも起こります。今回ように運動している時、空気が乾燥している時にも起こります。

失われた水分を適切に補給せずにいると脱水症状に陥ってしまいます。
ただし、水だけをたくさん飲んでいてもいけません。水を飲みすぎた場合、血中のナトリウム濃度の低下する低ナトリウム血症(水中毒)になってしまいます。
そのため、水・ナトリウムをバランスよく摂取する必要があります。
水分だけを摂取しても、脱水の回復はしません。休息なども必要です。

脱水症状は大きく軽度・中等度・重度に分けられます。(図)
脱水による頭痛としらずに、偏頭痛や風邪と勘違いして鎮痛剤を内服したり別の治療を自己判断で行ってしまう方もいらっしゃいます。
何か体調がおかしいと感じたら、休息をとり水分を摂取し、必要時は病院へ行きましょう。
重症化すると意識がもうろうとし、最悪の場合、死に至ることもあります。

●脱水症の症状

軽度 中等度 重度
大量の汗
喉の渇き
めまい
ふらつき
食欲不振
…etc
頭痛
体がだるい
吐き気
手足のふるえ
ふらつき
唾液や尿量の減少
…etc
意識障害
筋けいれん
幻覚
呼吸困難
生命の危機
死亡

練習から気を付ける水分補給

運動中に失った水分と電解質はできるだけ早く補給しましょう。
喉の渇きを感じたことで行う水分補給は運動中に失った水分を完全に埋め合わせることは出来ないと言われています。
レース前から行う事で、体内に水分を溜め込んでおきましょう。
水分・電解質補給の実際
種類
・真水ではなく、電解質を含むもの(ナトリウム、カリウム、マグネシウムなど)
・アミノ酸(特にBCAA)を含むもの
タイミング&量
・摂取してから細胞が脱水を解消するまでに最低でも40分はかかる
 →40〜60分間は水分摂取の効果は持続する
・体重の2%を超えない脱水量に抑える
 →運動前後の体重測定をし、失う量と摂取する量を知ることが大事!
・運動の約2時間前に250~500ml程度を摂取し、その後1時間ごとに500~1,000ml250mlずつ飲む
・運動中は1時間あたり400~800mlを目安に摂取する
温度
15℃前後がオススメ

突然死はなぜ起こるのか

マラソンは誰でも気軽に始められる運動ですが、突然死が多いスポーツでもあります。突然死は誰にでも起こる恐れがあります。
過去20年間に市民マラソン大会で心停止となってしまったランナーは120人以上もいます。
本大会でも、幸い大事には至っておりませんが、心肺停止となったランナーが数名いらっしゃいます。
レースを楽しく完走するためにも 、自分は大丈夫と過信せず、突然死についての知識を頭に入れ、十分な準備をしてレースに臨みましょう。

スポーツ中の突然死は、その多くが心臓の筋肉への血流不足が原因です。
運動により交感神経が優位になると心拍や血圧が上昇するため心筋の酸素需要が増加します。
動脈硬化などの血管の病変がある場合、心筋の酸素需要増加に供給が追い付かず持続的な心筋虚血となり、突然死の危険度が高まります。
<動脈硬化がある場合>
動脈硬化による心筋の慢性虚血 + マラソンによる心筋の酸素需要増加 ⇒ 持続的な心筋虚血 ⇒ 致死的不整脈発生
<プラーク(血管の内側に溜まった脂肪の塊)がある場合>
マラソンによる心拍や血圧上昇 ⇒ プラーク破壊 ⇒ 血栓形成 ⇒ 急性心筋梗塞発生

突然死を予防するためにも、事前に病院で検査を受けておくことも重要です。
本大会でも、健康チェックリストを配布しておりますが、以下の項目に1つでも当てはまる方は事前の検査を推奨します。

①心臓病の診断を受けたことがある ②突然気を失ったことがある ③運動中に腹痛、ふらつきを感じたことがある ④血縁者にいわゆる心臓マヒで突然亡くなった方がいる ⑤1年以上健康診断を受けていない ⑥血圧が高い ⑦血糖値が高い(糖尿病) ⑧悪玉コレステロールや中性脂肪が高い(脂質異常症) ⑨肥満 ⑩タバコを吸う
上記項目に当てはまらない方も、油断は禁物です。過去にマラソン完走経験があっても過信してはいけません。 十分な練習と準備をして、レース中は練習で行っていない無理なペース、過度な追い込みは避けましょう。 各自の目標に合った無理のないレースプランを立て、レースに臨んでください。

近くの人が助けを呼びましょう

近くで走っている人が倒れた際、あなたはまず何をしますか。
ランナーにとって、周りのランナーがいつ倒れてもおかしくない状況にあります。
目の前で一刻を争う事態に遭遇した際、適切な行動をとるためにはきちんとした基礎知識が必要になります。
まずは、救護の基本をおさらいしましょう。
倒れた人を発見した際にまず行うことは、その場に居合わせた人が救急隊や医師に引き継ぐまでの間に行う一時救命処置です。

《応急手当の流れ:具合がわるそうな人、倒れている人を見かけた場合》
①反応の確認:大きな声で、肩をたたき、反応を確認。 ②助けを呼ぶ:周囲に「助けて」「心臓マッサージできる人いませんか?」と叫ぶ。119番通報とAEDを依頼。 ③胸骨圧迫30回:胸の真ん中を真上から強く(5㎝沈み込むくらい)、早く(100回/分押すスピード)で、連続して押す。 ④人工呼吸2回:顎をそらせて、人工呼吸を行う。その間も胸骨圧迫は中断しない。 ⑤医療スタッフ到着:医療スタッフ、BLS隊に引き継ぎます。状況を教えてください。 ランナーの中には、ランニングドクターもいますが、近くにいるとは限りません。周りのランナーに声をかけ、すぐにスタッフを呼んできてもらいましょう。 大きな声で助けを呼ぶことも立派な救命処置です。 ランナーの皆様が安全に走って頂く事が一番ですが、もし何か起こった時に、落ち着いて対応できるように、頭に入れておきましょう。

大会の医療体制

【救護所】コース沿道やフィニッシュエリアに合計17か所設置
(医師や看護師、トレーナーなど常駐)
救護所名実距離設置場所
ドーム第1-ナゴヤドーム1F
6km6km名古屋市博物館駐車場
10km10.4kmドコモショップ新瑞店駐車場
16km15.7km千種コミュニティセンター
18km18.6km高岳パーキング
21km21.2km白川公園
23km22.8km若宮大通公園
26km26.2km丸の内中学校
28km27.7km名城公園南
30km30.6km日世駐車場
33km33.5km愛知学院大学名城公園キャンパス
35km35.0km中日新聞本社
37km37.5km高岳福祉会館
40km39.7km内山コミュニティセンター
ドーム第2-ナゴヤドームN駐車場
ドーム第3-ナゴヤドーム2F
瑞穂10.5km瑞穂陸上競技場
【ランニングドクター】医師80名以上がコース出走



【定点隊】500m毎にコース配置(AEDを携行しています)



【自転車隊】自転車でコース巡回(AEDを携行しています)




監修/井戸田 仁 医師
医学博士、日本整形外科学会専門医、日本体育協会スポーツドクター、日本整形外科学会 スポーツ医、日本リハビリテーション学会認定臨床医、などの資格を有し、びわじま整形外科院長、  井戸田整形外科名駅スポーツクリニック副院長。
愛知県体育協会理事、スポーツ科学研究委員会委員、愛知県スポーツドクター連絡協議会会長などとともにプロスポーツチーム、実業団チームなど多数のチームドクター兼務中。
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